Sunday, December 30, 2012

神の存在

ロンドンからの更新。

もう時期的にはクリスマスというよりお正月ですが、ちょっとクリスマス関連のことについて書きます。
今回の冬休みは日本に帰る予定はもともとなかったので、12月25日も普段通り寮にいました。冬休み自体は今月の頭からすでに始まっていたので、多くの生徒は帰省か旅行でオックスフォードを離れていたようです。街の中心部のほうに散歩に行きましたが、店もほとんど閉まっていてゴーストタウンのようでした。
皆家でゆっくりしつつミンスパイやターキーでも食べていたのだと思います。

クリスマスといえばキリストの降誕祭。
先日、物理学の教授による神についてのレクチャーを聞いてきました。
とても興味深い内容でした。
キリスト教徒の学者なので、なかなか面白い視点から科学と神の関係性について話してくれました。
要約すると「科学は様々な可能性に満ちているし、人類の英知の象徴といえるが、科学を使って世界のすべてを説明することは不可能だ」というようなことをおっしゃっていました。
科学はあくまで街灯であって、道のすべてを照らす太陽にはなりえない、という事らしいです。
確かに科学的方法は万能ではないと思います。
倫理観などを養うには宗教などのほうが向いているかもしれません。
だからこそ両立しうるし、させるべきなのでしょう。

しかし、科学と宗教の両立は不可能だという人ももちろんいるみたいです。
面白いトピックだったのです少し自分でもリサーチしていたら下の動画を見つけました。
反宗教主義者として有名なドーキンス教授と、敬虔なクリスチャンのレノックス教授のディベートです。テーマは科学と宗教の関係性、神の存在の是非などです。
二人ともオックスフォードで教鞭をとっている科学者で、かなりハイレベルな討論です。
結構長い動画ですがアカデミックな対決でとても面白いです。
司会者も最初に言っていますがrhetorical skills in the best British traditionとはまさしくこの事だと思います。
オススメです!


Friday, December 14, 2012

知の街3

これの続き。

セミナーで有益な話を聞くのもいいけど、学術資料とか美術品を実際に自分の目で見て新しい知識を吸収したい!
という人も安心してオックスフォードに来てください。

この街には美術館や博物館が何個もあります。
美術史や考古学を勉強するのに適してる環境だと思います。入館料はタダだし。
寮から歩いて15分くらいのピットリバースという博物館でたまに人類学の授業があります。
ピットリバース博物館は比較的小さな、民族・考古資料展示がメインの博物館です。
面白いのは、社会人類学的な資料価値がこの博物館自体にあるという事。
この博物館の展示方法は設立当時とあまり変わっていないらしいんですが、一般的な博物館と違って、民族や文化圏ごとに展示が分けられていません。
ではどの様にカテゴライズされているかというと、資料の種類や用途別に分けられています。
たとえばこの展示ケースは世界中から集めた櫛、こっちは様々な民族の槍、といった感じです。

これは創立者ピットリバース氏(19世紀の英軍人)の思想に基づいた展示方法らしいです。
この思想の裏には、 ヨーロッパで19世紀頃に主流だったある社会理論があります。
単系進化と呼ばれているもので、社会には発展のステージがいくつかあって西洋文化が社会進化の頂点にある、という理論です。
差別的思考に繋がるのでこの理論は今の学会では廃れていますが、当時はこういった考えのもとに研究が行われていました。
ピットリバース氏は、生物の進化でいうところの相似形をまとめて陳列することによって、ある道具や形状が時代と共にどのように「進化」してきたのかを提示したかったのではないでしょうか。

とまあ、近くに博物館みたいなリソースがあると、こういったことも実際に自分の目で見て勉強できます!

ピットリバース博物館と、隣接している自然史博物館の写真です。
3枚目はオックスフォードに来てから知り合ったプロデューサーのスタジオです。ラトビア人なんですが、自分とはかなり違うスキルと感性を持っています。いま一緒にいくつか楽曲を制作してるので、どんなものになるか自分も楽しみです!!


Thursday, November 8, 2012

希望とは

いよいよ1学期目も後半戦に突入しました。5週目です。
1学期が8週間しかないわりに冬休みは1ヶ月以上あります。
まあ、休みといっても、チューターの教授には「参考書をずっと読んでいなさい。クリスマスだけは休んでも良い」と言われています笑
ちなみに、イギリスでは1学期目2学期目という言い方はしないで少し特殊な呼び方をします。
秋季学期はMichaelmas termといいます。
大天使ミカエルの祭日(9月29日)に由来するらしいです。

話は変わりますが。オバマ氏勝ちましたね!
勝利スピーチを見たんですが、 米国民じゃないのにすこし感動しました。
やっぱり大統領はただの行政府の長じゃない、国民の象徴なんだという事を実感するスピーチでした。
物語性もあるしデリバリーの仕方ももちろん巧いけど、なにより内容が良かった。
たぶん本人が書いてるわけではないと思うけど、魂こもってたなー。
「希望」とは何かを説明するところが特にかっこ良かったので貼ります。


I'm not talking about blind optimism, the kind of hope that just ignores the enormity of the tasks ahead or the road blocks that stand in our path. I'm not talking about the wishful idealism that allows us to just sit on the sidelines or shirk from a fight. I have always believed that hope is that stubborn thing inside us that insists, despite all the evidence to the contrary, that something better awaits us so long as we have the courage to keep reaching, to keep working, to keep fighting.

やみくもな楽観主義について話しているのではありません。前にたちはだかる仕事がいかに大変かをいたずらに無視したり、道をふさぐ障害物を無視したりする、そんな希望のことではありません。ただ高みの見物を決め込んだり、戦いから逃げ回るだけの脳天気な理想主義のことでもない。私はかねてから希望というのは、自分たちの中にある頑固な何かだと思ってきました。そんなの無理だとどんなに言われても、果敢に手を伸ばし続け、働き続け、戦い続ける勇気があれば、今より良いものが何か待っていると、頑なに信じ続ける何かだと。

ソース

Monday, October 29, 2012

知の街2

続き。

ほかにも学生主催のセミナーもたくさんあります。
無数のソサエティー(日本で言うところのサークルとかクラブ活動)があるので、毎日何かしらイベントがあります。キャンパス内のどこかで。
この前参加してきたのは「世界で最も対費用効果の高いチャリティーを立ち上げるには」というセミナー。講師はAgainst Malaria Foundation の創設者。
募金で購入した蚊帳をマラリアの恐怖にさらされている人々の下に届ける、という団体らしいです。
お金を集めるには誰でもわかるような単純なミッションとプロダクトが必要だ、という言葉が印象に残っています。




そのセミナーの会場の写真なんですけど、コーパスクリスティというカレッジの講堂です。
ケロッグにもこんな立派な施設があれば。。笑

明日は近所の教会である講演を聞きに行く予定です。
テーマは Doesn't modern science make faith in God irrational?
現代科学は神への信仰心を不合理とするのか?
物理学者が講師だし、テーマもおもしろそうなので楽しみです!

Saturday, October 27, 2012

知の街

オックスフォードには、授業以外にも、新しい知識を得るチャンスが無数にあります。

たとえば「セミナーシリーズ」。
各学科や研究室主催で、大学内外の様々な教授を講師として招いて定期的にセミナーを開きます。
それぞれのセミナーシリーズにテーマ性があって、開催頻度は大体週1回。
例えば、いま個人的に気になってるのは、社会・文化人類学科主催のEthnicity and Identity Seminar Seriesです。 日本語なら民族性とアイデンティティかな。これは毎週金曜の昼に開かれています。
セミナーといっても、10月19日の投稿で書いた、授業の一環として行われるものとは違います。
基本的に講師対受講者のプレゼン形式で、誰でも参加できます。自分の学科主催だからと言って、受講しなければいけない訳でもありません。
(あ、プレゼン形式とはいえ、もちろん質疑応答の時間は設けられているのでちょっとした議論みたいになることはあります)

参加費は無料。別に事前に予約する必要とかもなく、所属学科とか関係なく誰でも聞きにいける。
つまり、まったく自分の専攻と関係ない分野のセミナーシリーズに参加しまくることもでる!多分!
ただ、おそらく毎週かなりの数のセミナーがキャンパス内で開かれているので、すべて把握するにはある程度の情報収集力が求められると思います笑
ちなみに、社会人類学関連のセミナーシリーズだけでも今学期7個あります!

Tuesday, October 23, 2012

Copipe

"I want to get closer to the start
Just a little closer"


Friday, October 19, 2012

正直なところ、

ちょっと大学院の勉強なめてました!
本気出さないとやばいです。

授業形態は大きく分けると3つあります。
まず、講義タイプの「レクチャー」。
100人近く入れるような講堂で、教授がパワーポイントを使って喋るのを聞いてるだけです。
下記写真参考。
まあこれは集中して聞いてればそこまで問題ないです。

次に、8人くらいから成るディスカッションベースの「セミナー」。
週1回あって、ディスカッションの内容は主にその週のレクチャーでカバーされたトピック。
担当教授から事前にメールで送られてくる参考書数冊の内容に照らし合わせて、ひたすら議論します。レクチャーはただノートとるだけなので、その分セミナーでは自分の意見や考えを口頭で伝えるのがメインです。教授はそこまで言葉を発しません。あくまで仲裁役に徹してる感じです。
自分以外に計7人の生徒がいるんですが、みんなよく喋ります!
とくにアメリカ人!
しかも、聞いてるほうも納得しちゃうような意見を言いいます。
かなりリーディングとか下準備してから臨まないと、なにも言えないまま終わっちゃう勢いです。
大学のころより周りのレベル(というかやる気?)が上がった分、自分もペースをあげていく必要があることを実感してます。

そして。一番やっかいな「チュートリアル」。
これについてはまた詳しく書きたいと思いますが、こいつはかなりやばいです。
これも週1回あります。
どういう授業かというと、上記のセミナーよりさらに少人数で、自分の書いたレポートの内容について議論します。
基本的に教授(チューターと呼ばれる)ひとり、生徒ふたりくらいの比率です。
セミナーより教授がアクティブに議論に参加してくるので大変です。
もちろんレポートは事前に提出しているので、かなり突っ込んだ内容の質問とかもしてきます。
「君はこう書いていたけど、たとえばこういう前提だったらその意見は成立しないんじゃないかい?」みたいな感じで笑
さらに。
週1回チュートリアルがあるということは、毎週レポートを提出しなければいけないということ!
しかも渡される参考文献 のリストが半端なくて、本20冊以上とかざらです。
絶対1週間で読めないって!!笑
レポートを書く上で重要な情報がどの文献に載っているのか、そういったものを見極めるスキルも問われているのかもしれません。
まあリサーチをする上では必要なスキルだとは思うけど。。。20冊とか30冊はちょっと。。

多分、このチュートリアルという授業形態に慣れたらかなり得るものは大きいと思うんですが、 まだ要領をつかめていません。
ちょっと人に相談しようと思ってます。
今学期はチュートリアルが毎週あるので(学部によって結構違うようです)、 こっから挽回します!






Friday, October 12, 2012

麦の穂


我がカレッジの校章。
確かにあのシリアルで有名なケロッグがオックスフォードに寄付してできたカレッジな訳だけど、それにしてもそのまますぎる気がする。。。

Thursday, October 11, 2012

カレッジ制度について

早速ちょっと長めの投稿です。

オックスフォード大学はカレッジ制度という、イギリス国内でも特殊な形態をとっています。
簡単に説明すると、カレッジと呼ばれている独立機関の集合体がオックスフォード大学です。すべてのカレッジと学科の総称がUniversity of Oxfordな訳です。
つまり、オックスフォードの生徒はUniversityに属していると同時に、40前後あるカレッジのどれかにも属しています。
イメージとしては、各カレッジは小さな私立大学みたいな感じで、それぞれ寮、食堂、図書室、運動施設などをもっています。施設管理や資産運用もUniversity側に頼らず独立して行われています。

かなり変わったシステムなので、こんな説明ではあまりピンと来ないと思います。
自分も実際にここに来るまでよくわかってませんでした。
入学願書のなかに希望するカレッジを書く項目もあったんですけど、よくわからなかったので「どこでもいい」にしました。
今ではすこしだけ後悔しています(理由は下の写真をみてください!)

個人的にこのカレッジ制度は結構気に入っています。

まず、カレッジひとつひとつに個性があって面白い!
それぞれ歴史も色々あるし、もちろん建物の外観も違います。クライストチャーチはまさにハリーポッターの世界だし、全カレッジの中で一番お金があるセントジョンズはデザイナーズマンションみたいな感じです。
町の中で会う人とは大体オックスフォードの生徒同士であることを前提で話すので、まずどこのカレッジに属しているかを聞くところから会話が始まります。
少し社会人類学者ぽいことを言うと、どのカレッジに属しているかが学生一人一人のアイデンティティの形成に関わっている気がします!笑
3年間も在学する学部生とかは、とくに自分のカレッジに誇りを持っているんだと思います。

あと、このシステムのおかげで、ほかの総合大学とは少し違った教育をオックスフォードは可能にしていると思います。
カレッジは主に社交の場なので、食堂などでカレッジメイトと会う機会がたくさんあります。各カレッジには得意分野がありますが、基本的には色々な分野を専攻している学生が集まっているので、会話の内容も多種多様です。
今まで自分が会ったカレッジメイトも本当に色々な人がいます。公共政策を勉強しているインド人、免疫学専攻のアメリカ人、世界銀行から派遣されてきた国際外交専攻のポルトガル人などなど。ちなみに数日前オックスフォード出身のガードン教授が山名教授とともにノーベル賞を受賞しましたが、この免疫学を勉強しているアメリカ人は、iPS細胞研究についてわかりやすく説明してくれました。ランチしながら笑
これはある人が言ってたことなんですが、自分の専門フィールドと全く関係ないと思っていた人と話すと、意外な発見があるそうです。このようなinterdisciplinaryな環境を生み出すカレッジ制度こそが、オックスフォードの教育機関としての成功の秘訣だ、みたいな事を言っていました。
ここらへんは少しアメリカのリベラルアーツ教育と共通する部分があると思います。
まああと、いろんな人と話せるのは単純に面白いですよね!

最後になりましたが、自分のカレッジはケロッグといいます。
900年の歴史があるオックスフォードの中でもかなり新しいカレッジで、 今年で創立8周年とかです。
やはり歴史の差があるので、施設とかはあんまりな感じです。まあ新しい分きれいなので文句は言えないけど。

上がケロッグの食堂で、下が皇太子殿下が留学されていた事で有名なマートンカレッジの食堂です(先輩にブランチに招待していただいた際に撮影)。。。


Monday, October 8, 2012

New Blog!!

はじめまして!
2012年10月からオックスフォード大学に留学しています、あつです。
修士課程で、専攻は社会人類学です。来年の夏頃に修了予定です。

東京生まれで、2012年5月にアメリカの大学を卒業しました。
初めてのイギリス留学なのでまだ色々慣れてない事もありますが、有意義な1年にしたいと思っています! このブログではオックスフォードでの生活の様子や、勉強の内容を発信していく予定です。 文章書くのがすごく遅いので基本写真メインの予定ですが、時間に余裕があるときは長めの記事も書くかもです。 あとヒップホップが大好きで、自分でも作ってるので、たまに自分の曲の宣伝とかもするかもしれないです笑

勉強に音楽にブログ、すべて頑張ります。よろしくお願いします!


とりあえず写真を1枚。 我が寮の外観。なんかイギリスぽいですよね。。。